気の重い毎日の消毒の儀

パンデミックの映画だと、ウイルスがどのように伝播して行くかというのを意味ありげなカットの連続で視聴者にわからせてくれますよね。「あっ、この時に手にウイルスがついて感染していったのだなー」というふうに。


原発事故の放射線も目に見えない恐怖、生まれて初めて経験した種類のことでしたが、今回の新型コロナウイルス の件もそうですね。不謹慎ですが未知の状況に軽い興奮みたいなものも感じることすらあったりします。自分が映画の世界の登場人物になったかのように、いつも触っているマンションのエントランスの取っ手にじつはウイルスがついていて…みたいなことが毎日何度となく頭をよぎるのです。前に書いたかもしれませんが、もはや自分や子供は感染していて単に無症状なだけ、とかも考えます。


とはいえ、現実的には感染しないようできるだけのことはしないといけなくて、それは、帰宅するなり念入りに手を洗い、コートを隔離し、着ていた服はまるごと洗濯、バッグの取手や時計を消毒、スマホをビニール袋から出して拭き、汚れた手をまた洗い、ドアノブや電気のスイッチその他を消毒し、また手を洗い、アルコール消毒液でて指を消毒。そうして「不潔」はものを消毒あるいは隔離し、「不潔」っぽいところを消毒し、最後に手指を消毒してやっと、「清潔」なリビングに入れるのです。


正直手間がかかります。

だれかこの毎日の消毒ルーティンをYouTubeにアップしてもらえないだろうか?

どこからどこまで消毒していいのかきりがないし、どこまでアルコール消毒液が効果があるのかわからないし、でもやらないわけにはいけないこの儀式。


この消毒の儀に疲れ、気の緩みが出てきた頃に私はあっさりそこらのドアノブに触れて感染するのかもしれない。脳内にそんな妄想の映画のワンシーンがまたよぎるのです。